今回は最近話題の両利きの経営について書いてみたいと思います。

ご存知の方も多いと思いますが、両利きの経営は知の探索(exploration)と、知の深化(exploitation)の両輪を回していこうというものです。

この分野はWBSでもコメンテーターをされている早稲田大学ビジネススクールの入山先生の書籍がとても参考になります。

簡単に解説すると、知の探索は未知の領域で試行錯誤し,自分の知識範囲を広げる行動で、日常生活で言えば、新しい飲食店を開拓していくようなものです。美味しいかどうかわからないラーメン屋に入ってみる。もしかしたら失敗かもしれないし、大当たりかもしれない。これが探索です。

一方、知の深化は既存の知識を実際に用い,精度をさらに高めていく行動です。先程の日常生活の例で言えば、お気に入り・行きつけのの飲食店に行くようなものです。もう少し言えば、お気に入りのラーメン屋で少しだけトッピングや薬味を追加してみてさらに自分好みの味付けになるようにする、これが深化です。

いつもと同じ店でいつものお気に入りの味を楽しむ、それだけでも良いかも知れませんが、世の中そうは簡単にいきません。私も経験がありますが、お気に入りの店が店主の高齢化やビルの取り壊しによって突如として閉店となることがあるのです。

事業であれば音楽を聞く媒体がレコードの時代からCD,MD,データ、サブスクと移り変わったように突如として事業形態の変化を余儀なくされるのです。そこで、それに備えて、当たるか外れるかわからない知の探索が大切なのです。

両利きの経営の4つの成功要因(必要条件)

頭ではわかるけど、ついついお気に入りの店(既存事業)に甘えちゃうよ、しかも、新規開拓の店(新規事業)は失敗も多いし、というのが知の探索に進めない理由だと思います。

そこで、両利きの経営の成功要因とされる4つの要素をご紹介したいと思います。ただしこれは必要条件であり、十分条件ではない(これがあったからといって必ず成功するわけではない)ことに注意してください。

両利きの経営成功要因

1つめの「探索と深化が必要であることを正当化する明確な戦略意図をもつ」は先程書いた、なぜ知の探索が必要なのか、を自社の置かれた状況、今後の戦略などを含めて説明していくこと、と言えるでしょう。

2つめの「新規事業の育成と資金供給に経営陣が積極的に関与し、監督し、その芽を摘もうとする人々から保護すること」は新規事業(知の探索)には経営陣が積極的に関与することと、おそらく当初はそんなに稼げないであろう新規事業に対して否定的な既存事業の人たちから守ってあげるということになります。

お前らは俺らが稼いだお金使って、金にならない遊びみたいなことやってるんだろ?」こんな声がどこの企業でも聞こえてくるのではないでしょうか?

3つめは「成熟部門との最適な距離感のバランス」ですが、より具体的に書けば、新規事業が独自に組織面で調整を図れるように、十分な距離を置くとともに、重要な資源や組織能力を活用するのに必要な組織的インターフェイスを設計することとされています。

ここには3つポイントがあって、1つは組織的な独立、2つめは十分な距離、3つめは組織的なインターフェイスです。
1つめは新規事業は組織的に独立していたほうが良いということです。2つめにも繋がりますが、同じ部署の中で新規事業と既存事業を行うのは得策ではないとしています。
2つめは十分な距離ということで、物理的な距離も含めて別部署にしたほうがよいということでしょう。

3つめは組織的なインターフェイスということで、社内の技術・資金リソースや営業部隊などの活用などのために、既存事業側に窓口となってくれるパートナーがいたほうが良いということになります。

4つめは「探索(新規)、深化(既存)の共通のアイデンティティをもたらすビジョン、価値観、文化」で、新規事業にしても既存事業にしても共通のビジョンをもったほうが良いということです。結局、自分たちは何のために仕事をしているのか、どこを目指しているのか?誰のために仕事しているのか?ここがしっかりしていれば新規事業と既存事業の変な対立が避けられるということなのだと思います。

まとめ

いかがでしたでしょうか。今回は両利きの経営について簡単にご紹介しました。

より詳しく知りたい方はぜひ入山先生の書籍を読んでみてください。


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