リーダーシップ開発のためのACSモデル
リーダーシップ開発に関わる人事担当者・研修設計者の方向けに、ACSモデルを紹介します。米国の非営利教育機関CCL(The Center for Creative Leadership)が提唱した枠組みで、2025年現在も世界中のリーダーシップ開発プログラムで土台となっている定番モデルです。

図の通り、ACSモデルはAssessment(アセスメント)/Challenge(チャレンジ)/Support(サポート)の3つの輪が重なり合い、真ん中でリーダーとしての成長成果が生まれる、という考え方を示しています。3要素の頭文字を取ってACSモデルと呼ばれます。
ACSモデルとは|CCLが整理したリーダーシップ開発の3要素
ACSモデルを提唱したCCL(The Center for Creative Leadership)は、米国を拠点にリーダーシップ開発の研究・実践を行う非営利教育機関です。
The Center for Creative Leadership|https://www.ccl.org/
ACSモデルが示しているのは、“リーダーは研修1回では育たず、3つの要素が揃うことで成長する”ということです。
| 要素 | 内容 | 欠けると起きること |
|---|---|---|
| Assessment(アセスメント) | 自己理解・現状把握・変化のきっかけ | 変わる必要性を感じない |
| Challenge(チャレンジ) | 手の届かない目標や困難で成長する | 現状維持で成長が止まる |
| Support(サポート) | 上司・同僚・家族・仕組みからの支援 | 挑戦が続かず途中で折れる |
以下、3要素をそれぞれ掘り下げます。
Assessment(アセスメント)|自分の現在地を知る
アセスメントは、自分の強み・弱み・リーダーとしての傾向を客観的に把握することです。「変わる必要があるのだ」と自覚する出発点が、ここで生まれます。
| 具体施策 | 内容 |
|---|---|
| 360度評価 | 上司・同僚・部下からの多面評価 |
| エンゲージメントサーベイ | 自分のチームの状態と、自分のマネジメントの関連を見る |
| 性格・資質診断(MBTI/クリフトン/DiSC等) | 自分の認知・行動の傾向を把握 |
| リーダーシップ行動のセルフチェック | PM理論・サーバントリーダー診断など |
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Challenge(チャレンジ)|コンフォートゾーンの外に踏み出す
チャレンジは、現在の自分ではやや手が届かない目標・困難に向き合って成長することを表します。

コンフォートゾーン(居心地の良い領域)に留まっていては成長は望めず、少し背伸びが必要なストレッチゾーンに出ることで、リーダーとしての筋肉が育ちます。
| 具体施策 | 内容 |
|---|---|
| ストレッチアサインメント | 難易度の高い業務・プロジェクトに意図的に配置 |
| MBO/OKR | 達成60〜70%の挑戦的な目標を設定 |
| ビジネスシミュレーション | ゲーム型研修で意思決定・リスクを疑似体験 |
| 異動・越境学習 | 部署異動・出向・社外プロジェクトへの参画 |
CCLのリーダーシップ開発プログラムでは、ビジネスシミュレーション(ゲーム型研修)を通じて、本番では体験しにくい意思決定・判断を疑似的に積ませる方法がよく採用されます。
OKRのやり方〜KRの設定と因果ループ図〜
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Support(サポート)|挑戦を支える人と仕組み
サポートは、上司・同僚・家族・メンターなどの人の支援、そして表彰・研修制度・メンター制度などの仕組みを含みます。挑戦が続くための”燃料”にあたる要素です。
| サポートの種類 | 具体例 |
|---|---|
| 業務支援 | やり方を教える・情報を共有する・タスクの配分を調整する |
| 精神支援 | 話を聴く・ねぎらう・承認する |
| 内省支援 | 質問で気づきを促す・フィードバックをする |
| 仕組みのサポート | メンター制度・コーチング・表彰制度・研修 |
特に中原淳氏『職場学習論』で整理されている3つの支援(業務支援・精神支援・内省支援)は、上司・同僚からのサポートを設計する際のチェックリストとして便利です。

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ACSモデルを人事施策に落とし込むとき
リーダーシップ研修を設計する際に、ACSモデルを当てると“どの要素が自社では手薄か”が見えてきます。
| 自社の状態 | 手薄なACS要素 | 処方箋 |
|---|---|---|
| 研修はやっているが現場に戻ると変わらない | Challenge+Support | 研修後のストレッチ課題+上司の支援を設計 |
| 評価は厳しいが育成されない | Support | 1on1/メンター/内省支援の導入 |
| 管理職が自分の強み弱みを言語化できない | Assessment | 360度評価・診断・自己理解ワークの導入 |
| 仕事が易しすぎて成長が止まっている | Challenge | 異動・越境・難度の高いPJに配置 |
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まとめ
ACSモデル(Assessment/Challenge/Support)は、リーダー育成を単発の研修ではなく、自己理解+挑戦の機会+周囲の支援という”3つの輪”で設計するための考え方です。

自社のリーダーシップ開発施策を棚卸しする際、3要素のうち手薄な輪はどれかを問うだけで、次の打ち手が見えてきます。
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