聞き方を使い分ける「SAIDモデル」とは?
今回はナンシー・デュアルテ(Nancy Duarte)が提唱する「SAIDモデル」について紹介したいと思います。
ここ最近、「傾聴が重要」とはよく言われますが、果たして「どんな場面でも同じように聞くこと」が最善なのでしょうか?
今回ご紹介するのは、プレゼンテーションやストーリーテリングの第一人者、ナンシー・デュアルテ氏が提唱するモデルの「SAIDモデル」です。
これは、単に話を聞くのではなく、相手のニーズに合わせて聞き方を切り替えるという考え方。特に、マネジメント層やチームリーダーにとって非常に実用的なスキルです。
ちなみに、Youtubeにナンシー・デュアルテ氏がプレゼンテーションについて説明している動画が上がっています。
書籍も出ています。
「聞き方を使い分ける」SAIDモデルとは?
それでは具体的にSAIDモデルについて紹介したいと思います。
SAIDモデルは以下の4つの頭文字をとったものです。
相手の感情に寄り添い、共感や励ましを届けるリスニングスタイル
A:Advance(アドバンス)
話のゴールや課題に対して前進のサポートを行う、問題解決志向のスタイル
I:Immerse(イマース)
話の全体像や背景を深く理解しようとする没入型の聞き方
D:Discern(ディサーン)
建設的に評価・フィードバックを行うスタイル。聞きながら見抜く力が求められる
このモデルの特徴は、「自分の聞き方を適応させること」にあります。
傾聴が「受け止めること」に重点を置くのに対して、SAIDモデルは「成果につながる聞き方を戦略的に選ぶ」点がポイントです。
SAIDモデルと傾聴・コーチングとの比較
企業でよく使われるコミュニケーション技法に「傾聴」や「コーチング」がありますが、SAIDモデルはそれらを補完・拡張する枠組みです。
傾聴は主に「共感的に受け止める」こと、コーチングは「質問によって気づきを引き出す」ことに焦点が当てられますが、SAIDモデルはこれらの聞き方を状況に応じて切り替える力を養います。
つまり、1つの型にとらわれない柔軟な聞き方=アダプティブ・リスニングを可能にするのがSAIDモデルです。ある意味で、より高度な聴き方といえると思います。
以下に、3つのアプローチを簡単に比較した表をご紹介します。
SAIDモデルが特に求められる人・層とは?
SAIDモデルが特におすすめの層は次の層の方々といえます。
プロジェクトリーダー層:チーム内の対話の質を高める
次世代リーダー育成対象:早期から「聞き方の引き出し」を持つことが有効
これからのリーダーに求められるのは、“聞き方を選ぶ力”です。
おわりに
改めてSAIDモデルをご紹介しておきます。
相手の感情に寄り添い、共感や励ましを届けるリスニングスタイル
A:Advance(アドバンス)
話のゴールや課題に対して前進のサポートを行う、問題解決志向のスタイル
I:Immerse(イマース)
話の全体像や背景を深く理解しようとする没入型の聞き方
D:Discern(ディサーン)
建設的に評価・フィードバックを行うスタイル。聞きながら見抜く力が求められる
ナンシー・デュアルテ氏が創設した duarte.com では、SAIDモデルを含むリーダーシップ開発のコンテンツが多数紹介されています。
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