採用弱社の戦略論

“採用弱社”の戦略論をシリーズでお届けしています。本シリーズは、学生から見たネームバリューや認知が弱い企業=採用弱者・採用弱”社”に向けた記事です。

“採用弱社”の戦略論 シリーズ一覧

本記事では、採用弱社が新卒採用でコンピテンシー面接の導入を検討する際に押さえておきたい3つの欠点と、それぞれの対策をまとめます。

コンピテンシー面接とは

コンピテンシーとは、特定の職務におけるハイパフォーマー(高い成果を生み出す社員)に共通する行動特性を意味し、このコンピテンシーを評価基準に組み込んだ面接手法がコンピテンシー面接です。

コンピテンシー面接を導入することで、(社内の)ハイパフォーマーと同じ行動特性を有する人材、つまり入社後の活躍期待値の高い人材を採用できます。

過去記事で、コンピテンシーを5つのレベルで分類する枠組みをご紹介しました。

コンピテンシー5レベル

面接官研修で教える面接理論〜コンピテンシーモデル〜

「採用のゴールは入社ではなく、入社後の活躍である」と考えるなら、コンピテンシー面接は優れた面接手法であることは間違いありません。しかし万能ではなく、いくつかの欠点があります。欠点を知らずに導入すると、むしろ逆効果になることもあります。

コンピテンシー面接の3つの欠点

欠点 内容 特に困りやすい企業
1. 導入コストが大きい 面接官への研修・ロールプレイ工数が大きい 少人数採用の中小企業
2. コンピテンシーを設定しづらい 自社ハイパフォーマーの分析・定義に大きな手間 人材データが蓄積されていない企業
3. 見極めはできるが志望度は上がらない 深掘り質問が圧迫面接的に見え、志望度が下がる 選考辞退が多い採用弱社

欠点1: 導入コストが大きい

コンピテンシー面接を導入するには、面接官を担当する社員に対して実施方法の研修を行う必要があります。特に現場社員が面接官を務める際には、コンピテンシー面接を行う意義や具体的な方法を伝え、ロールプレイまで実施する必要があります。

なお、コンピテンシー面接の質問フレームワークとしてSTARモデル(Situation / Task / Action / Result)があります。

STARモデル 面接

面接官研修で教える深掘り手法〜STARモデル〜

コンピテンシー面接を導入するためには、この研修を実施する必要があり、工数という意味での導入コストが大きいのは事実です。

欠点2: オリジナルコンピテンシーを設定しづらい

冒頭で述べた通り、コンピテンシーはハイパフォーマーに共通する行動特性です。新卒採用では5レベルの分類がよく使われますが、自社オリジナルのコンピテンシーを設定しようとすると、次のような作業が必要になります。

・自社のモデルとなるハイパフォーマーを抽出する
・彼らの思考・行動プロセスを分析する
・彼らが学生時代にどのような行動を取っていたのかヒアリングする

モデルがいない場合は、精度は落ちますが求める人物像からコンピテンシーを定義することもできます。採用コンサルティング会社に依頼する手もありますが、調査と分析の工数が大きいため費用は高額になりがちです。採用弱者にとって、その費用は捻出しづらいのが現実です。

欠点3: 見極めはできるが志望度は上がらない

面接は、見極め(評価)だけでなく、動機付け(志望度向上)を行う貴重な機会です。限られた時間の中で、この両方をバランス良く進める感覚が必要です。

コンピテンシー面接は学生の見極めとしては優れていますが、以下のような理由で動機付けの時間を確保しにくい側面があります。

・1つの話題を深く掘り下げるため、面接1件あたりの時間がかかる
・「なぜ?」「なぜ?」と深掘りが重なるため、学生が圧迫面接の印象を受ける
・志望度が下がって次の選考を辞退される

せっかく見極めができても、学生の志望度が下がってしまえば入社にはつながりません。採用弱社にとっては、この欠点がとくに深刻に効いてきます。

採用弱社がコンピテンシー面接を活用する3つの工夫

欠点を踏まえた上で、採用弱社がコンピテンシー面接の利点を取り入れるには、次のような工夫が有効です。

導入を段階化する:最終面接のみコンピテンシー面接として、早期選考段階は通常面接+動機付けに集中する
コンピテンシーを既成フレームで代用する:自社オリジナルを作り込まず、社会人基礎力や5レベル分類などの既成フレームで運用し、運用しながら徐々に自社化する
見極めと動機付けで面接を分ける:1回の面接で両方やらず、見極め面接と動機付け面談(現場社員との対話)を役割分担する
深掘りの言い回しを柔らかくする:「なぜ?」を「どんな背景があってその選択をしましたか?」などに言い換え、圧迫感を減らす
最後に必ず「逆質問+会社の魅力訴求」タイム:面接の最後10分を必ず動機付けに使う時間として固定する

採用戦略・面接設計を学ぶ書籍

採用設計の基盤を学ぶには、下記の書籍が参考になります。

まとめ

コンピテンシー面接は、応募者が多く学生の見極めをしっかり行いたい採用強者には有効な手法です。一方、応募者も少なく、選考辞退が懸念される採用弱者にとっては、見極めよりも動機付けが勝負どころで、コンピテンシー面接の導入には工夫が必要です。欠点を踏まえた上で、段階導入・既成フレームの活用・見極めと動機付けの役割分担などの対策で、採用弱社でも活用の幅が広がります。


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