若手社員のモチベーションの5パターン「VIOCEフレームワーク」

若手社員のモチベーション低下に悩む上司や人事担当の方向けに、野村総合研究所が提唱する「VIOCEフレームワーク」を最新の視点で解説します。
VIOCEとは、未来工業やグーグルなどモチベーションの高い企業37社へのインタビュー調査から導き出された、働く動機の5つの型(Value system/Innovation/Opportunity/Communication/Environment)の頭文字です。部下が5つのどのタイプで動いているかを見極めることで、上司や人事が取るべきアクションが明確になります。
本記事では、VIOCEの各タイプの意味・タイプ別の打ち手・部下のタイプ把握方法・相性のよい研修プログラムまでを一気通貫で紹介します。
なぜいま「若手社員のモチベーション」が組織の最重要テーマなのか
厚生労働省「新規学卒就職者の離職状況」(2023年10月公表)によれば、大学卒業後3年以内に離職する若手社員の割合は34.9%と、依然として3人に1人が早期に職場を去る状況が続いています。
また、パーソル総合研究所や各種HR系シンクタンクの近年の調査では、20代社員に共通する傾向として以下の3点が繰り返し指摘されています。
・キャリア形成の自己責任化が進み、「今の会社で成長できるか」を冷静に見極める傾向が強い
・給与や肩書よりも、働く意味や心理的安全性を重視する
・リモートワークの常態化で偶発的なコミュニケーション機会が減り、孤立感を抱きやすい
こうした環境では、旧来の「背中を見て覚えろ」型のマネジメントではモチベーションを維持できません。部下一人ひとりの動機の型に合わせた関わり方が不可欠であり、その型を整理する枠組みとしてVIOCEが再注目されています。
VIOCEフレームワークとは?野村総研による5類型の整理
VIOCEフレームワークは、野村総合研究所・寺井信裕氏らによる研究(「モデルケースを踏まえた『働くモチベーション』への実践的アプローチ」知的資産創造2007年8月号)で提示された働くモチベーションの5類型です。
モチベーションが高いとされる企業37社への聞き取り調査をもとに、従業員の働く動機を以下の5タイプに整理しています。
知的資産創造. 15(8)
2007年の研究ですが、動機の多様化・細分化が進んだ現在のほうが応用価値は高まっていると言えます。タイプを一元的に扱わず、個別の動機に合わせた施策を選ぶための共通言語として活用できます。
VIOCE 5つのタイプと上司が取るべき打ち手
順番にVIOCEの5タイプと、それぞれに効く具体的なアクションを整理します。
V:Value system型(価値観・ミッション共感)
組織が掲げる社会的ミッションに共感し、「その一員として働けることが誇らしい」と感じるタイプ。パーパス経営・ESGといった近年の潮流と相性が良い動機パターンです。
打ち手:情熱的なミッション・ビジョンの再定義/行動規範の明文化と刷新/顧客の声を直接聞く場の設定/若手に自社の社会貢献活動を語る機会をつくる。
I:Innovation型(新たな価値提供への参加)
「この会社なら自分のアイデアで世の中に新しい価値を届けられる」と感じるタイプ。新規事業・DX推進部門などで成果を出しやすい動機です。
打ち手:提案制度・表彰制度の導入/20%タイムのような自由裁量時間の付与/ハッカソン・社内ベンチャー制度の整備/若手をPoC(実証実験)のオーナーに登用。
O:Opportunity型(成長機会・学習環境)
「ここに居れば自分が成長できる」と確信できる環境があるとモチベーションが高まるタイプ。キャリア自律世代の若手に最も多い動機類型と言われます。
打ち手:ロールモデルの可視化/明確なキャリアパスの提示/コーポレートユニバーシティや外部研修の開放/1on1でのキャリア対話/キャリア安全性の確保。
C:Communication型(価値観を共有できる仲間)
「この仲間とならもっと頑張れる」「チームに貢献している実感がある」と感じるタイプ。リモートワーク常態化で最も充足しづらくなった動機でもあります。
打ち手:心理的安全性の高い職場づくり/オフィス・オンライン双方での雑談機会の設計/チームビルディング研修による相互理解促進/表彰式やキックオフなど各種セレモニーの実施。
E:Environment型(能力発揮のための環境)
「自分の能力と意欲を十分に発揮できる環境が整っている」と感じるタイプ。裁量・権限・時間・設備・制度の総合的な満足度が動機の源泉となります。
打ち手:権限委譲と組織再編/社内フリーエージェント制度/ワークプレイスデザインの見直し/就業規則・評価制度のアップデート/フレックス・リモートなど働き方の柔軟化。
部下のVIOCEタイプを見極める3つの方法
打ち手を選ぶ前に、部下がどのタイプで動いているかの把握が先決です。実務で使いやすい方法を3つ紹介します。
①1on1での「動機語り」質問:「これまでで一番やりがいを感じた仕事は?」「今の仕事で一番テンションが上がるのはどんな瞬間?」を問い、回答に現れるキーワード(ミッション/アイデア/成長/仲間/環境)から型を推定します。
②ストレングスアセスメントの活用:クリフトンストレングス(旧ストレングスファインダー)など個人の強み資質を可視化するツールは、Value system型やOpportunity型の動機を言語化する精度を大きく高めます。
③チーム対話型のアセスメント:ゲーム型研修で部下の行動傾向を観察し、「戦略を考えることに熱中する」「仲間の貢献に喜ぶ」「成長実感を言語化する」といった場面からタイプを推定します。1on1の自己申告と合わせると精度が上がります。
VIOCEの考え方を実務で機能させるためには、部下のタイプ把握から打ち手実行までをつなぐ仕組みが必要です。株式会社HEART QUAKEでは、特に以下2つの研修プログラムを組み合わせてご提案しています。
クリフトンストレングス研修|個人の強み資質から動機を可視化する
Opportunity型・Value system型の動機を持つ若手に特に効果的な研修です。34の資質から本人の上位資質を特定し、「どのような仕事・役割で最もモチベーションが高まるか」を言語化します。上司との1on1で活用することで、部下の内面にある動機語彙を引き出すコーチング精度が格段に高まります。

認定コーチによる1時間からの短時間セッション対応も可能です。
内定者〜中堅層まで幅広く対応。詳細はストレングスファインダー研修の活用方法記事もあわせてご覧ください。
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若手社員のモチベーションに関するよくある質問
Q. VIOCEフレームワークは何人規模の組織で使えますか?
A. 本人と上司の1on1で語彙として使うところから始められるため、数名規模のチームでも有効です。全社で共通言語化する場合は人事部門が型の解説資料を整備してください。
Q. 若手社員は複数のタイプを同時に持ちますか?
A. はい、大半の社員は複数タイプの組み合わせで動きます。強弱のグラデーションとして捉え、今最も満たしたい型を優先して施策を選ぶのが実務的です。
Q. モチベーション調査のタイミングはどうすればよいですか?
A. 入社時・異動時・評価面談の前後・プロジェクト終了時の4点で語彙が変わりやすいので、この時期に1on1で確認するのがおすすめです。
まとめ
若手社員の働くモチベーションは単一ではなく、Value system/Innovation/Opportunity/Communication/Environmentの5つの型(VIOCE)に類型化できます。上司や人事が部下のタイプを言語化し、タイプ別に打ち手を選ぶことで、離職防止・エンゲージメント向上・成果創出の3点を同時に満たすことが可能になります。
自社の若手社員のモチベーションを具体的に把握したい、タイプ別の施策設計を急ぎたいというご相談は、クリフトンストレングス研修やベストチームと組み合わせてご検討ください。関連テーマとしてエンゲージメント向上につながるゲーム研修3選、若手社員研修で使えるゲーム7選、1on1は意味ない?効果的な頻度や内容も参考になります。
