日本に住む者として災害への対策というのはとても重要です。

少し古いデータですが、平成18年版の防災白書によれば、災害を受けやすい日本の国土として以下のように記述されています。

世界全体に占める日本の災害発生割合は,
マグニチュード6以上の地震回数20.8%
活火山数7.0%,死者数0.4%,災害被害額18.3%など,
世界の0.25%の国土面積に比して,非常に高くなっている

平成18年版 防災白書 内閣府
http://www.bousai.go.jp/kaigirep/hakusho/h18/bousai2006/html/honmon/hm01010101.htm

全世界におけるマグニチュード6以上の地震の約2割が日本で発生しているというすごい事実です。
それに対して、1923年に発生した関東大震災の教訓から9月1日を防災の日として、避難訓練、防災訓練を行ったりと対策をとっていると思います。

今回はそんな防災対策に役立つカードゲームを紹介したいと思います。

カードゲームを使った災害時の食料備蓄の理解

今回ご紹介するゲームは家庭の食料備蓄について学ぼう!という教材カードで、市販されているものではなく、下記の論文で紹介されており、興味を持ったものです。

ローリングストック手法と災害時の栄養問題を解決する知識を学ぶ
カード型アクティブラーニング教材「家庭の食料備蓄について 学ぼう!」の開発

前田 緑, 伊藤 智, 舩木 伸江

防災教育学研究
2021 年 1 巻 2 号 p. 63-70

https://www.jstage.jst.go.jp/article/rjde/1/2/1_63/_article/-char/ja/

ここ数年、家庭でできる防災対策の1つとしてローリングストックというものを耳にする機会が増えたかと思います。

内閣府のホームページでは以下のように説明されています。

ローリングストック法は日常的に非常食を食べて
食べたら買い足すという行為を繰り返し、
常に家庭に新しい非常食を備蓄する方法

http://www.bousai.go.jp/kohou/kouhoubousai/h25/73/bousaitaisaku.html

大型地震などの場合、1週間以上の食料備蓄が望ましいとされているようで、ローリングストックによる非常食の準備が必須となります。

ただし、論文では以下のように注意喚起が行われています。

被災者の生命や健康維持を目的に支援物資が供給されるが、
日持ちするものや手に入りやすいものから提供されるため
炭水化物が中心となり、たんぱく質、鉄分、カルシウムが不足する傾向にあり、
被災時の栄養バランスを欠いた食事が課題とされている。

みなさんもご自身の自宅の備蓄食料を見てみて下さい。注意にある通り、炭水化物系が多くなり、野菜系(緑系)のものが少なくなっていないでしょうか。

このように自宅の状況を確認し、注意喚起を行うカードゲームとして家庭の食料備蓄について学ぼう!が開発されるに至ったようです。

まず、下記のようなカードが72枚用意されています。

図1 「家庭の食料備蓄について学ぼう!」教材カードの一部(裏面)


表1 教材カード一覧

そして、以下のような手順でゲームを行います。

災害時に備えて食料を備蓄しているか否かを質問。

1.備蓄している家庭は、備えているものを、
備蓄していない家庭は、これから備えようと思う食材をカード群から選びだす。

2.1で選んだカードを裏返し、三色食品群のバランスを確認する
(備蓄は緑が少なくなる傾向にある)。

実はカードには色分けがされており、それらが三色食品群と連動していて、自分が選んだカードに何色が多く、また、何色が少ないのかを可視化することで、備蓄食料の状況を把握するというものです。


画像引用:https://www.daiei.co.jp/food/seasonal/201506_4_shokuiku.html

その上で、

3.三色食品群を意識した備蓄の必要性とローリングストック法について説明する。
※災害時は黄色に偏りがちになること、三色揃えること食べるための
アイテムを一緒に備える必要性を伝える。

ということで、振り返りと解説を行うという流れになっています。
いきなりローリングストックをやりましょう、ローリングストックとはこういうことです、と言われるよりも先にカードゲームを通して自分たちの状況を知ることで、その後の説明への集中度が高まるいいコンテンツだと思いました。

参考になれば幸いです。

ローリングストック手法と災害時の栄養問題を解決する知識を学ぶ
カード型アクティブラーニング教材「家庭の食料備蓄について 学ぼう!」の開発

前田 緑, 伊藤 智, 舩木 伸江

防災教育学研究
2021 年 1 巻 2 号 p. 63-70

https://www.jstage.jst.go.jp/article/rjde/1/2/1_63/_article/-char/ja/


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