従業員数50名以上の企業ではストレスチェックが義務化されたこともあり、ストレスチェックを実施した結果、従業員のストレスを軽減するために、何をすべきか?頭を悩ませている方も多いと思います。

一般に、仕事量が多いから、労働時間が長いからストレスが高いと思われると思います。
もちろんその側面は否定出来ないのですが、理論的に何がストレスに強い影響を与えているのかを分析したデータがあります。(図をクリックすると大きくなります。)

ストレス反応

ワークシュチュエーション5要因、ストレス反応、コミットメント、仕事の水準の構造モデル
参考:http://db.jil.go.jp/db/seika/zenbun/E2001110017_ZEN.htm#06000000
※労働統計データ検索システム(http://db.jil.go.jp)は2017年3月末で運営をされたようです。

共分散構造分析という難しい分析の結果ですが、概要だけ掴んでいきましょう。

何がストレスの要因になっているのか

図した部分の黒枠が「ストレス反応」です。
「ストレス反応」は「抑うつ」にたいして影響を与えます。
つまり、「抑うつ」は「ストレス反応≒ストレス」によって引き起こされることがわかります。

では、そのストレスに影響を与えているのはどんな要素でしょうか。
図を御覧ください。

ストレス反応

紫の枠が「ストレス反応」に影響をあたえる要素です。
「職務」、「職場内対人関係」、「福利・生活支援」の3つの要素が挙げられますが、驚くべきことに、「福利厚生・生活支援」が最も強く「ストレス反応」に影響を与えています。(数値の絶対値が最も大きい)

次に影響が大きいのは「職場内対人関係」となっており、3つのうち、「職務」が最も影響が少ないという結果になっています。

さらに分析を進めていきましょう。下図を御覧ください。(図をクリックすると大きくなります。)

ストレス対策

「職務」、「職場内対人関係」、「福利・生活支援」はどんな要素の影響を受けているのか、という点に注目します。

まずは「福利・生活支援」ですが、「生活サポート」が強い影響を与えているのがわかります。
逆に言えば、私生活が上手く行っていないとストレスが大きいということになると思います。

次に、「職務」ですが、「参画」の度合いが強い影響を与えています。
これは、権限を持って仕事出来ているかということと言えると思います。
やらされ仕事ではなく、自分が意思決定に影響を持っていることがストレスの観点からは良いのだと思います。

最後に、「職場内対人関係」ですが、「職場の人間関係」が最も強い数値を示していますが、「上司・リーダー」「顧客との関係」もほぼ同じ数値を示しています。

職場でのストレス対策案

以上の分析から職場のストレス対策として以下の様なことが考えられます。

1.健康経営施策
「生活サポート」を支援するものとして、注目されている「健康経営」という視点を持ったサポートが必要だと思います。

具体的には、企業として「食事」、「睡眠」、「運動」、「育児」に関するサポートができるのではないかと考えています。

2.少人数チームでの権限以上
「参画」の度合いを高めるためには「自分の意思」が反映されやすい環境になっていることが重要だと思います。

具体的には、チームを少人数に保ち、1人1人に権限委譲を行い、小さな分野でも個人の意思が反映されやすい環境構築が必要だと思います。

3.コミュニケーション活性化施策
「職場内対人関係」に関しては「コミュニケーションの質と量」に関する施策をとることが重要だと思います。

コミュニケーション活性化についての記事は下記をご覧頂ければと思います。

チームワークを高めるための取り組み10選

コミュニケーション量を増やすために「サンクスカード」を導入する、コミュニケーションの質を高めるために「アサーション研修」「叱り方研修」を導入する、または「チームビルディング研修」を導入する、などが考えられます。

まとめ

「ストレス反応」は「職務」、「職場内対人関係」、「福利・生活支援」の影響を受ける。

「福利・生活支援」は、「生活サポート」が強い影響を及ぼす。

「職務」は、「参画」の度合いが強い影響を及ぼす。

「職場内対人関係」は「職場の人間関係」「上司・リーダー」「顧客との関係」がほぼ同じ数値で影響を及ぼす。


関連記事

人気記事

記事内検索

カテゴリ別

注目されているタグ

TOPに戻る
お問い合わせ