シニアのキャリア研修で実施したい「死の疑似体験」ワーク
以前にもシニア向けのキャリア研修についてシニア向けのキャリアデザイン研修で考えたい3つの視点というタイトルで記事を書きましたが、今回はその具体的なワークについて書いてみたいと思います。
シニア向けのキャリアデザイン研修で考えたい3つの視点
前回の記事で、シニア向けのキャリアデザイン研修には仕事、お金、人生の3つの視点が求められていると書きました。その中でも今回は人生に焦点を当てたワークを紹介したいと思います。
人生を考える「死の疑似体験」ワーク
今回紹介する「死の疑似体験」ワークは5色カード法と呼ばれるワークです。
なお、本記事はこちらの論文を参考に記載しています。
五色カード法による死にゆく過程の疑似体験
(Guided Death Experience)
2009年
下島裕美、蒲生 忍
https://www.jstage.jst.go.jp/article/kyorinmed/40/1/40_1_2/_pdf
ワークのやり方は以下のとおりです。
5枚ずつ、計25枚配る
2.1枚のカードに1つずつ自分の大切なものを記入してもらう
ただし、上画像の様にカードの色によって記入する内容が異なる
3.カードは机の上に並べる
4.ゆっくりと物語を読みあげながら、途中でカードを何枚か
机の向こう(手の届かない所)へ投げ捨てるように教示する
ちなみに、物語とは下記のことを指します。
気づく。検査の結果,脳腫瘍が発見される。
⇒5色のカードから各1枚ずつ手の届かない所へ投げる。
・手術は成功して希望を持つが,しばらくして体調を崩し,
検査で再発が告げられる。
⇒隣の人があなたの白のカードを1枚,黄色のカードを1枚とって捨てる。
・化学療法を受け,自分は病人なのだと実感し抑うつを感じる。
⇒青,ピンク,緑を1枚ずつ捨てる。
・体調が多少回復して希望を持つが,再び鋭い痛みに襲われる。
⇒何色でもいいので3枚捨てる。
・検査の結果癌が成長していたことを知り,エンドオブライフ
について考えることが大切だと告げられる。
⇒何色でもいいのでカードを4枚捨てる。
・痛みが激しいため,緩和ケアセンターで残された時間を過ごす。
⇒何色でもいいのでカードを5枚捨てる。
・痛みがコントロールされ,家族や友人と残された日々を
過ごすが,呼吸が苦しくなり,残りの時間が少なくなったことに気づく。
⇒残ったカードをすべて捨てる。
・死を迎える。
ワークの終了後にディスカッションを行う。
カードを投げた時にどのように感じたか,何を捨てることが最も難しかったか。
課題の感想などについてグループでディスカッショ ンする。
「死の疑似体験」ワークの効果と導入事例
論文の中でこのワークの効果について以下のように記述されています。
1.バランスのとれた時間的展望への気づき
⇒大学生・大学院生を対象にこの課題を実施したところ、
「健康であることを幸せに思った。本気で禁煙を考えようと思う」という感想がでるなど、未来を具体的に展望したり、逆に「現在を楽しもう」といった感想もあった。
2.「本当に大切なもの」への気づき
⇒「最初にカードに書いたものが実はたいして大切でもないことに気づいた」
といった感想や、「大切なものを徐々に捨てながら気持ちの整理ができてしまった」という感想もあった。
実際にパーソルホールディングス様で実施した際のレポートはこちらからご覧いただけます。
パーソルホールディングス様実施レポート
「死の疑似体験」から、自分にとって大切なものを考える。オンライン社内研修を実施
まとめ
このように、職場内ではシニアとはいえ、人生100年時代を考えればまだまだ若いという段階で、自分の人生、とりわけ死について考えることが、仕事上のキャリアはもちろん、今後の生き方を考える良いきっかけになると思います。
このような死についての教育はデス・エデュケーションと呼ばれているそうです。
シニア向けのキャリアデザイン研修を企画中の方の参考になれば幸いです。
五色カード法による死にゆく過程の疑似体験
(Guided Death Experience)
2009年
下島裕美、蒲生 忍
https://www.jstage.jst.go.jp/article/kyorinmed/40/1/40_1_2/_pdf
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