ファイザー社がワクチン開発から得られた6つの学び
今回はDIAMONDハーバード・ビジネス・レビュー21年7月号に掲載されていたファイザー社についての記事を読んでの気付きを書いていきたいと思います。
記事のタイトルはファイザーはなぜ驚異のスピードでコロナワクチンを開発できたのか 不可能を可能にした6つの要因というものでタイトルだけでとても興味深い内容だと思います。
記事によればファイザーは8ヶ月でワクチンを開発されたそうで、2021年6月現在、ワクチンが日本の希望となっていると思います。
前例のないワクチン開発から得られた6つの学び
記事の中で我々が活かせそうなのは前例のないワクチン開発から得られた6つの学びというパートで、この経験からファイザー社が何を学んだのか、という部分です。この学びは我々がイノベーションを起こしたいと思ったときの参考になると思います。
それでは、6つの学びを引用したいと思います。
2.目標を最優先にしても採算がとれる場合もある
3.正しい目標に向けた壮大なる挑戦は組織を活性化する
4.巨大な目標を掲げた時は、それを実現するために必要な
「従来の常識を破る考え方」をするように働きかけなければならない
5.研究者に財政面の心配をさせないようにした点と、
過度の官僚的事務作業から彼らを解放した点
6.喜んで協力することの大切さ
引用:DIAMONDハーバード・ビジネス・レビュー21年7月号
P25-26
1つずつ見ていきたいと思います。
1つめの成功とはチームワークの結果であるは、これだけ見れば当たり前のように見えますが、記事の中で「チームメンバーのとてつもない自己犠牲」と記述されている通り、実際の開発現場のことを考えるとワクチン開発という1つの共通目標に向かって努力していただいただと思います。本当に尊敬しかありません。
2つめの目標を最優先にしても採算がとれる場合もあるというのは、今となればファイザー社のワクチンは各国が購入し、収益的にもとても大きなものになっているだろうということがわかりますが、当然、開発に失敗するという可能性もあったわけで、会社としてはリスクもあっただろうと思います。
まさに、「採算がとれる場合もある」というのは「とれない場合」もあるということですよね。
3つめは正しい目標に向けた壮大なる挑戦は組織を活性化するということで、この学びを読んで、私は以前に読んだLINEの開発話を思い出しました。
それは、下記のLINE元代表取締役社長 森川さんの著書「シンプルに考える」に記載されていたのですが、LINEを開発した経緯として3.11の東日本大震災があって、電話が繋がりにくかった経験からシンプルで繋がるコミュニケーションアプリというコンセプトでLINEを開発したということでした。
個人的にはLINEの開発チームでも正しい目標に向けた壮大なる挑戦は組織を活性化するということが起こっていたのではないかと推測しています。
4つめの巨大な目標を掲げた時は、それを実現するために必要な「従来の常識を破る考え方」をするように働きかけなければならないというのが、日本の企業からイノベーションが起こらないと言われてしまう要因の1つなのかなと思います。
我々は幼い頃から「従来の常識を破る」ということに慣れていないように感じます。ルールに従って規律を重んじて行動することが良しとされ、ルール事態を疑ったり、変更することが少ないように感じます。
記事にはこう書かれています。
引用:DIAMONDハーバード・ビジネス・レビュー21年7月号
P26
5つめの研究者に財政面の心配をさせないようにした点と、過度の官僚的事務作業から彼らを解放した点は、本来の仕事に集中させるという意味でとても重要だと思います。
以前に、トヨタの危機管理という書籍を読んで同じようなことが書いてあったのですが、トヨタの危機管理室では、上司に報告するためのレポートを作らないということでした。
言うまでもなく、危機管理室の最も重要なミッションはスピード感を持って危機に対応することで、レポートを書いている時間がもったいないということで、レポートがほしいなら、上司が危機管理室に直接来て、壁に貼ってある模造紙やホワイトボードを自分で見たらしいということでした。
多くの職場では、会議や報告書など、本来の仕事をする時間を奪う仕事が多いのではないでしょうか。
最後の6つめは喜んで協力することの大切さということで、これは今回のワクチン開発のベースとなる技術のmRNAメッセンジャーのノウハウを持つ、ビオンテック社とファイザー社の協力体制が最終契約書無しで始まったという部分で、これは情報流出などの可能性を考えると普段はなかなか考えづらいと思うのですが、これもやはり、いち早く全世界の問題を解決するためにという共通の目的があったからということなのでしょう。
まとめ
ということで、ここまで6つの要素をご紹介してきましたが、その多くに共通するのは目的の重要性なのではないか?と思っています。
口先だけの新規事業やイノベーションではなく、何の問題を解決するのか?が明確で、それが多くの人に共感してもらえるものであるときにイノベーションが始まるのかもしれません。
ぜひ本文も読んでみてください。