コーチング研修に映画「ビリギャル」を活用した事例
コーチング研修や、アクティブラーニングの事例として面白い論文を見つけたのでご紹介します。
紹介する論文はこの論文です。
小林 忠資,中井 俊樹
https://web.opar.ehime-u.ac.jp/wp/wp-content/uploads/2017/05/J15-10_kobayashi.pdf
つまり、集合研修(この場合はコーチングをテーマにした研修)の題材に映画「ビリギャル」を用いているということなのです。
映画 「ビリギャル」 とは
参考URL:https://amzn.to/3BSB8lQ
ビリギャルをご存知ない方に向けて簡単に概要を説明すると以下となります。
『学年ビリのギャルが1年で偏差値を40上げて慶應大学に合格した話』を映画化した作品である。
将来へのビジョンを持たない素行不良ギャルの主人公(さやか)が,個別指導塾の講師(坪田)の指導を通して,慶應義塾大学に合格するまでの話を描いている。
※論文より抜粋。ビリギャル公式サイト:http://birigal.jp/
どのようにして映画を研修に取り入れたのか?
どのようにして映画を研修に取り入れたのでしょうか?
なんとなく、映画を見て、内容についてディスカッションするんだろうな、ということは想像がつきますが、論文を読むと、研修としてなりたつようにしっかりと設計されているのがわかります。
研修全体の設計
論文によれば研修時間は2時間で実施されたようです。
余談ですが、最近は1日まるまるというよりも業務への負担を考慮して2〜4時間程度の研修が好まれているようです。
全体はアイスブレイクを含めた「導入」、実際にビリギャルを視聴したりワークを行う「展開」、振り返りを行う「まとめ」の3つのパートで構成されています。
特に、展開部分ではティーチングの時間をとり、コーチングにおけるGROWモデルなどについて講義を行われています。
GROWモデルについて
ビリギャル活用部分の流れ
上記が実際にビリギャルを活用している展開部分の流れになります。個人的に面白いと思ったのは映画の視聴の前に「課題の提示」を行っている部分です。
具体的には下記の質問を含む3つの課題が提示されています。
坪田先生は,塾生に対する指導において,どのような工夫をしていたでしょうか。
※論文より抜粋
このように事前に課題を設定することで、アウトプットを意識して視聴することができると思います。
このあたりのアウトプットを意識したインプットの実施という取り組みは以前に紹介した新しい本の読み方である「アクティブ・ブック・ダイアログ」にもつながるところです。
アクティブ・ブック・ダイアログ(ABD)という新しい本の読み方
そして、視聴後に3つの課題に対して個人ワークに取り組んでもらうという流れになっています。
なお、2時間の研修時間全体のうち、視聴時間は20分程度とのことです。
研修効果はどうだったのか?
映画を取り入れるという手法としてとてもユニークだと思いますが、効果はどうだったのでしょうか。
アンケートによる実務上での活用可能性はとても高いように思います。
これは、コーチングにおける1つの「成功事例」を、「映画」というをエンターテイメントの力を使ってわかりやすく説明していることの貢献度が高いように個人的には感じています。
まとめ
今回は研修の教材として映画を用いた事例についての論文をご紹介しました。
論文の中でも紹介されていますが、ラーニングエッジ様という研修会社さんがストーリーメソッド研修という研修を実施されているようです。
HR Proでのインタビューページ
社内で実施する際に著作権について気になるところではありますが、JASRACさんのサイトを閲覧する限り、費用もそんなに高くないようですね。