レジリエンスを鍛える具体的なトレーニング

「立ち上がって3歩進む」「指を50回鳴らす」「誰かと6秒握手する」といった極小のトレーニングが、折れない心を育てます。
さらに、サンクスカードなどの仕組みを導入することで、組織全体の回復力を高めることも可能です。
目次
1. レジリエンスの4つの種類と具体的トレーニング
2. 肉体的回復力:じっとしない
3. 精神的回復力:意志力を高める
4. 感情的回復力:ポジティブ感情を引き出す
5. 社会的回復力:人と繋がる
6. 組織でレジリエンスを育てる仕組み
7. まとめ
本屋に行くと「レジリエンス」という言葉をよく目にします。リモートワーク/ハイブリッド勤務の定着、物価上昇、生成AIによる業務変化と、ストレス源が多様化した2026年、折れずに立ち直る力の価値はますます高まっています。
ビジネスシーンの「レジリエンス」は折れない心と言い換えられます。ストレスを0にするのは非現実的なため、ストレスを受けてもサンドバッグのように打たれても戻ってくるしなやかさを育てることが重要です。

では、レジリエンスはどうすれば身につくのでしょうか。ここでは、ゲームデザイナージェイン・マクゴニガルのTED Talkから、具体的な4種類のトレーニングを整理します。
マクゴニガルの書籍はこちら。
レジリエンスの4つの種類と具体的トレーニング
【要点】レジリエンスは、スタンフォード大学の心理学者ケリー・マクゴニガルが提唱する「肉体的回復力」「精神的回復力」「感情的回復力」「社会的回復力」の4種類に分類されます。それぞれの種類に応じた具体的なトレーニングを実践することで、ストレスへの対処能力や困難を乗り越える力を高めることができます。例えば、身体を動かしたり、ポジティブな感情を引き出したり、人とのつながりを感じたりする簡単な行動が、レジリエンスを鍛える第一歩となります。
マクゴニガルが動画の中で紹介しているレジリエンスには、以下の4種類があります。
| 種類 | 意味 | すぐできるトレーニング |
|---|---|---|
| ①肉体的回復力 | 身体を動かしてストレスを解く | 立ち上がって3歩進む/拳を握って腕を頭上に5秒 |
| ②精神的回復力 | 意志力を小さく積み上げる | 指を50回鳴らす/100から7ずつ引く |
| ③感情的回復力 | ポジティブ感情を引き出す | 外/室内を眺める/動物や赤ちゃん動画を見る |
| ④社会的回復力 | 人とのつながりを感じる | 誰かと6秒握手/感謝の一言を送る |
それぞれを掘り下げていきます。
1. 肉体的回復力:じっとしない
【要点】肉体的回復力を高めるには、身体を動かすことが重要です。リモートワークで動かないことがストレス源になりがちですが、立ち上がって3歩進む、拳を握って腕を上げるなどのマイクロ運動でも、科学的にストレス低減に直結し、十分な効果があります。
立ち上がって3歩進むか、拳を握って、両腕を頭の上に挙げる(5秒間)
スポーツやヨガがストレス解消に良いのは感覚的に知られていますが、身体を動かすことは科学的にもストレス低減に直結します。リモートワーク中心の1日では、この「動かない」こと自体がストレス源になりがちです。会議と会議の間に30秒だけ動く、という程度のマイクロ運動でも十分効果があります。
2. 精神的回復力:意志力を高める
指を50回鳴らす/100から7ずつ引いていく
マクゴニガルは「つまらないことでも意志力を高めることができる」と述べています。「小さな成功を積みましょう」という助言はよく聞きますが、指を50回鳴らすくらいの「意思を持った小さな成功」でも構いません。仕事の大きな目標を細分化する前に、まず自分に「小さく決めて/小さく守る」を何度も通せるようにすることが土台になります。
3. 感情的回復力:ポジティブ感情を引き出す
室内なら窓から外を見る/屋外なら室内を見る/動物・赤ちゃんの画像や動画を見る
上の写真を見て少しホッとする感覚、あれが感情的回復力の働きです。マクゴニガルは「ネガティブ感情1に対してポジティブ感情3の比率があると、健康と問題解決力が高まる」(ポジティビティ比)と指摘しています。
オフィスの机に家族・ペット・子どもの写真を置く人がいますが、あれはまさに感情的回復力を高めるための環境設計です。リモート環境ではPCの壁紙・Teamsの背景画像を好きな風景にするだけでも効果があります。
ポジティビティ比とは?個人と組織のウェルビーイングを高める3:1ルール
4. 社会的回復力:人と繋がる
誰かと6秒握手する/誰かに感謝の気持ちを送る(メール・チャットでもOK)
「繋がりすぎの社会」と言われますが、感謝や触れ合いの意味で繋がっているケースは意外に多くありません。企業内では身体接触はハラスメントリスクもあるため、言葉での感謝が中心になります。
感謝を組織の仕組みに落とし込む代表的な施策がサンクスカードです。Slack/Teamsのスタンプ+一言、ピアボーナス、月次MVP制度など、2026年は選択肢が広がっています。
「サンクスカード」という社内コミュニケーション活性化ツール
組織でレジリエンスを育てる仕組み
【要点】レジリエンスは個人の資質ではなく、環境と習慣で育つスキルであり、組織として仕組み化することで効果的に育成できます。具体的な取り組みとして、30秒のマイクロブレイクや感謝文化といった日常習慣の導入、1on1でのポジティブな出来事の共有、そしてストマネやレジリエンス研修などの研修を通じて、組織全体のレジリエンスを高めることが可能です。
レジリエンスは個人の資質というより、環境と習慣で育つスキルです。組織として仕組み化する際のアイデアを整理します。
| 領域 | 取り組み例 |
|---|---|
| 日常習慣 | 30秒のマイクロブレイク/歩く1on1/昼のストレッチ |
| 感情的補給 | 感謝文化(Slackスタンプ、サンクスカード)/ピアボーナス |
| ポジティブ比率 | 1on1で「最近の良い出来事」を1つ共有 |
| 研修 | ストマネ/レジリエンス研修/セルフケア・ラインケア |
研修として導入する場合は、用途に応じてゲーム型のメンタルヘルス研修が有効です。メンタルヘルス研修で使えるグループワーク・ゲーム3選|セルフケアからラインケアまで では、ストレスマネジメントゲーム「ストマネ」をはじめ、目的別に3つの研修ゲームを紹介しています。
まとめ
【要点】レジリエンスは才能ではなく、日々の小さな習慣の積み上げで鍛えられる筋肉のようなものです。マクゴニガルが提唱する4つの種類(肉体的、精神的、感情的、社会的)それぞれに対し、数秒〜数分で始められる具体的なトレーニングがあります。組織としても、感謝文化や1on1、ストレスマネジメント研修を組み合わせることで、個人頼みではない折れにくいチームを育てることが可能です。
マクゴニガルが提唱するレジリエンスの4つの種類と、それぞれのトレーニング:
2.精神的回復力 = 意思を持って小さな成功を積む
3.感情的回復力 = ポジティブな感情を引き出す写真・景色を見る
4.社会的回復力 = 感謝の気持ちを表現する
どれも日常の数秒〜数分で始められるのがポイントです。レジリエンスは才能ではなく、日々の小さな習慣の積み上げで鍛えられる筋肉に近い存在。組織としても、感謝文化・1on1・ストレスマネジメント研修を組み合わせることで、個人頼みでない折れにくいチームを育てることができます。



