みなさんはポジティビティ比というものをご存知でしょうか。
ポジティビティ比という言葉自体は知らないが、これは聞いたことがあるという人は多いかもしれません。

「褒める」と「叱る」の比率は3:1が良いらしい

今回は管理職が知っておきたいポジティビティ比ということで、管理職の方が部下にフィードバックする際に知っておきたいことを書いていきたいと思います。

ここ数年、中原淳先生の影響もあり(?)フィードバックが注目されていますが、フィードバックのやり方でよく言われるのが上記の「褒める」と「叱る」の比率は3:1が良いらしいということです。

※下記は中原先生のフィードバックの書籍(3:1の比率について掲載されているかどうかは未読のため不明です。すいません。)

このようなポジティブとネガティブのフィードバックの比率のことをポジティビティ比
といいます。ちゃんと書くと下記のようになります。

一定の時間におけるポジティブなフィードバック=ポジティビティ(P)の頻度を、
同時間におけるネガティブなフィードバックのネガティビティ(N)の頻度で割ったのもの
(=P/N)

この数字がどこから出てきたんだ?というのが気になる方も多いと思いますのでその出処について少し記述しますと、これはそもそも、コンサルタントのマーシャル・ロサダ氏らは、ある会社の60の部門を調査し(会話をマジックミラーで観察・記録したらしい)、ポジティビティ比と部門の部門の成果の関連を研究しました。

その結果、以下のようになっていることがわかりました。

パフォーマンスが高かった部門のポジティビティ比は5.614

パフォーマンスが中程度の部門のポジティビティ比は1.855

パフォーマンスが低かった部門のポジティビティ比は0.363

※ここでのポジティビティ比は肯定的な発言と否定的な発言の比率

グラフにするとこうなります。

引用
The Role of Positivity and Connectivity in the Performance of Business Teams:
A Nonlinear Dynamics Model

Marcial Losada and Emily Heaphy
American Behavioral Scientist 2004; 47; 740

http://www.factorhappiness.at/downloads/quellen/s8_losada.pdf

つまり、パフォーマンスが高かった部門では、肯定的な発言が約6回に対して、否定的な発言が1回の割合だったということです。

これを見てこんなことを考えた人もいるかもしれません。「じゃあ、ネガティブなフィードバック・発言を0にしたらもっと良いのか?

どうもそう単純ではないようです。多少のネガティブなフィードバック・発言は必要不可欠とされています。これには2つの理由があるようです。

1.相手の注意を引くことができる

2.自己満足や集団思考を防ぐことができる

※集団思考=集団で合議を行う場合に不合理あるいは危険な意思決定が容認されること

2つめの理由はYesマンばかりの組織は崩壊していくということですかね。
少し不確かな情報ではありますが、12:1、または、13:1になると逆にパフォーマンスが下がるというのです。

また、こう感じた方も多いと思います。「おい、3:1ってのはどこにも出てこないじゃないか

確かに、先程紹介したデータではパフォーマンスが中程度の部門のポジティビティ比でも1.855ということですので冒頭からお伝えしている3:1という数値は出てきていません。これは、成果が上昇に転じる転換点(ティッピング・ポイント)となったのが、約3:1(2.9:1)だったということで、3:1のロサダ比として広がりました。

関連書籍としてはこちらになります。

まとめ

今回は、管理職が知っておきたいポジティビティ比ということでP/N比を3以上にしようということをお伝えしてきました。

と、ここまで書いてきて最後に残念なお知らせです。
どうやらこの3:1という数値が数学的には間違っていたようなのです。

「元論文の数学的根拠が皆無」と指摘されて、アメリカ心理学会が法則を正式に否定することになったこのロサダの法則は、
数学や心理学などのアカデミックな分野にはいなかったある中年のイギリス人男性の指摘から崩壊することになりました。

引用
https://gigazine.net/news/20180305-british-amateur-debunk-hapiness-law/

3:1という比率自体は間違っていたようですが、P/N比がそこそこ高いことは組織にとってプラスだと思いますので特に管理職の方は意識してみてください。


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