2018年のWINTER版の一橋ビジネスレビューに面白い論文がありました。
この号のメインテーマは「新しい営業の」科学ということで営業や営業マンについて科学的に分析している論文が多数掲載されています。

今回は本誌の特集論文Ⅱとして掲載されている下記の論文を基に売れる営業・パフォーマンスが高い営業が取っているとある行動としてパフォーマンスが高い営業マンが実施ししている行動について書いてみたいと思います。

一橋ビジネスレビュー 2018年WIN.66巻3号: 「新しい営業」の科学
特集論文Ⅱ

セールス研究の現状と営業研究の課題
18のメタ分析論文のレビュー

稲水伸行 東京大学大学院経済学研究科准教授
佐藤秀典 筑波大学ビジネスサイエンス系准教授

この論文は営業や営業マンについての論文を複数集め、複数の論文をまとめて分析してみるというメタ分析という最もエビデンスの質が高い分析手法が用いられています。

これによって営業(という職種)に向き不向きはあるのか?という個人特性とパフォーマンスの関係などが分析されています。

この中でも今回はP25〜27に掲載されているこのセクションに注目したいと思います。

売り上げ優先か、顧客ニーズ充足優先か
ー顧客志向とパフォーマンス

一橋ビジネスレビュー 2018年WIN.66巻3号: 「新しい営業」の科学
特集論文Ⅱ P.25-27

このセクションでは売上至上主義的なセールスマンのほうがパフォーマンスが高いのか、それとも顧客ニーズを満たすために努力する顧客志向的なセールスマンのほうがパフォーマンスが高いのか?という分析について記載されています。

売れる営業・パフォーマンスが高い営業が取っているとある行動

結論から書けば下記のように記載されています。

Jaramilloら(2007)は、
顧客志向であるほどパフォーマンスは高まると結論づけた。

また、以下のようにも記載されています。

顧客志向よりも適応型販売行動のほうが
より重要な要因だと考えられる。

つまり、売れる営業・パフォーマンスが高い営業は適応型販売行動という行動を取っていることがわかりました。あまり聞き慣れない言葉だと思います。

下記のように定義されています。

適応型販売行動とは
顧客との相互作用の間に、あるいは顧客との相互作用ごとに、
販売状況に関して知覚された状況に基づいて、
販売行動を変更すること

Weitz, Sujan & Sujan, 1986

簡単に書けば、お客さんの状況を見て販売行動を変えることです。

顧客タイプによる適応型販売行動の具体例

この論文では適応型販売行動についてこれ以上は説明されていませんが(それが目的ではないでしょうし)、ここではもう少し踏み込んで書いてみたいと思います。

適応型販売行動の具体例としてMcfarlandら(2006)による分析を紹介したいと思います。

Influence Tactics for Effective Adaptive Selling

Mcfarland, R. G.,
Challagalla, G. N.,
Shervani, T. A

Mcfarlandらによれば顧客を3つのタイプに分け、そのタイプごとにどのような販売行動を取るのが効果的なのかを分析しています。

A.タスク志向顧客
B.交流志向顧客
C.自己(防衛)志向顧客

これら3つのタイプに対してそれぞれ下記のように行動するのが効果的としています。

A.タスク志向顧客
有益な情報の提供が有効

B.交流志向顧客
営業マンの誠意や情熱を伝えることが有効

C.自己(防衛)志向顧客
契約内容の提示や、契約を基にした表現が有効

参考:
営業行動の選択とその有効性に関する一考察
提案型営業と適応型営業から垣間見える動態性分析のための新視点
清宮政宏 滋賀大学 経済学部 准教授 (2012)

まとめ

いかがでしたでしょうか。売れる営業・パフォーマンスが高い営業は顧客志向、特に顧客ごとに販売行動を変える適応型販売行動を取っていることがわかりました。

具体的には3つの顧客のタイプに応じて有効性の高い説明をすることが重要だということがわかっています。

論文について詳しく読みたい方はこちらから。


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