コイン渡しゲームのやり方・ルール|20分で「全体最適」を体験できるビジネスゲーム研修

個人の効率向上と全体の成果が異なることを直感的に理解でき、アジャイル開発やトヨタ生産方式の導入研修に最適です。
さらに深い全体最適の学びには、多くの企業で導入実績があり高い満足度を誇る「ビールゲーム」や、自律型人材を育成する「チームクリップ」の活用が効果的です。
目次
1. コイン渡しゲームとは|20分で全体最適を体験できる研修ワーク
2. コイン渡しゲームのやり方・ルール
3. 結果の見方と気づき
4. 振り返り(デブリーフィング)の進め方
5. 活用シーン・こんな研修におすすめ
6. コイン渡しゲーム研修キット|スライドと進行ガイドの4点セット
7. ビールゲーム|サプライチェーン全体の最適化を体験する研修
8. チームクリップ|自律型人材を育成するゲーム型研修
9. よくある質問
10. 全体最適・チーム連携|ビジネスゲーム研修導入をご検討の方へ
11. まとめ
「コイン渡しゲーム」は、チームで仕事を進める際に個別最適よりも全体最適を意識した方が成果が出ることを、わずか20分で体験できるビジネスゲーム研修です。
IT企業ではアジャイル開発やカンバン方式の有用性を伝えるために広く活用されており、製造業やサービス業の研修でも「なぜ小ロット生産が有利なのか」を直感的に理解させる教材として注目されています。
この記事では、コイン渡しゲームのやり方・ルールから、結果の読み解き方、振り返り(デブリーフィング)の進め方まで、研修担当者がそのまま使える形で解説します。
コイン渡しゲームとは|20分で全体最適を体験できる研修ワーク
コイン渡しゲームは、複数の作業者がコインを順番に処理(裏返し)して顧客に届けるという流れを、渡す枚数(バッチサイズ)を変えながら3回繰り返すゲームです。
「20枚まとめて渡す」「5枚ずつ渡す」「1枚ずつ渡す」の3パターンを試すと、1枚ずつの方が全体の完了時間が短くなるという、一見すると不思議な結果が得られます。
「コインの裏返し」「コインを動かす」「コインを使ったゲーム」といったキーワードでこの記事にたどり着いた方も、本記事のコイン渡しゲームで意図された内容(コインを順番に裏返してチームで処理するワーク)を確認できます。
この体験を通じて、以下のことを学べます。
・個別の作業効率を上げても、全体の成果が上がるとは限らないこと
・バッチサイズ(一度にまとめて処理する量)を小さくすることで待ち時間が減り、全体のスループットが向上すること
・トヨタ生産方式の「7つのムダ(トヨタの七つのムダ)」のうち「手待ちのムダ」がいかに大きいか
所要時間は15〜20分程度(説明・実施・振り返り含む)と短いため、研修のアイスブレイクや、本題に入る前のウォーミングアップとしても使いやすいワークです。
コイン渡しゲームのやり方・ルール
準備するもの
・20枚のコイン(10円玉や100円玉など。おはじきやポーカーチップでも代用可)
・ストップウォッチ 5つ(進行役が1つ、作業者A・B・Cと顧客役が各自1つ。スマートフォンのストップウォッチ機能でOK)
・記録用のホワイトボードまたは模造紙
役割分担(5人1グループ)
・顧客役:コインを最初に渡し、戻ってきたコインを受け取って裏返す人(4番目の工程)
・作業者A・B・C:コインを裏返して次の人に渡す人
・進行役(タイムキーパー):時間を計測し、結果を記録する人
4人でテーブルを囲むように座り、進行役は横から観察します。

ゲームの流れ
コインの流れ:顧客 → 作業者A → 作業者B → 作業者C → 顧客
各作業者は、受け取ったコインを1枚ずつ裏返して、指定の枚数に達したら次の人に渡します。顧客役も4番目の工程として、戻ってきたコインを作業者と同じルールで1枚ずつ裏返します。顧客役が裏返し終えたコインが「完成品」です。
進行役が計測する項目:
a. 作業者A・B・Cと顧客役それぞれの経過時間(最初のコインに触れてから最後のコインを処理し終えるまで。途中で次のコインを待つ時間も含みます。本人が自分のストップウォッチで計測)
b. 最初の1枚が顧客に届くまでの時間
c. 最後の1枚(20枚目)が顧客に届くまでの時間
ゲームは3ラウンド行い、ラウンドごとにコインを渡す単位(バッチサイズ)を変えます。
第1ラウンド:20枚まとめて渡す
作業者Aは20枚すべてを裏返してから、まとめて作業者Bに渡します。B→C→顧客も同様です。
第2ラウンド:5枚ずつ渡す
5枚裏返したら次の人に渡します。これを4回繰り返して合計20枚を処理します。
第3ラウンド:1枚ずつ渡す
1枚裏返すごとに次の人に渡します。20回繰り返します。

結果の見方と気づき
3ラウンドの結果を記録すると、次のような傾向が現れます。
| 計測項目 | 1回目:20枚ごと | 2回目:5枚ごと | 3回目:1枚ごと |
|---|---|---|---|
| 顧客役 の経過時間 | 20秒 | 20秒 | 26秒 |
| 作業者A の経過時間 | 21秒 | 25秒 | 30秒 |
| 作業者B の経過時間 | 24秒 | 28秒 | 35秒 |
| 作業者C の経過時間 | 20秒 | 23秒 | 30秒 |
| 最初の1枚が顧客に届くまで | 85秒 | 21秒 | 8秒 |
| 20枚すべてが顧客に届くまで | 85秒 | 50秒 | 35秒 |
各自の経過時間は「長くなる」
1枚ずつ渡す場合、作業者は「裏返す→渡す→受け取る→裏返す→渡す…」を20回繰り返すため、受け渡しの回数と、次のコインを待つ時間が増えた分だけ個人の経過時間は長くなります。ここでいう経過時間は正味の作業量ではなく、工程内の手待ちを含んだ「自分の工程が始まってから終わるまで」の時間です。
全体の完了時間は「短くなる」
一方で、最初のコインが顧客に届くまでの時間と、すべてのコインが届くまでの時間はバッチサイズが小さいほど短くなります。
上表の計測例では、20枚まとめて渡した場合と比べて1枚ずつ渡した場合、最初の1枚が届くまでの時間は約1/10(85秒→8秒)、全20枚が届くまでの時間は約1/2.4(85秒→35秒)にまで短縮されています。
なぜこうなるのか?「手待ちのムダ」
20枚まとめて渡す場合、作業者Bは作業者Aが20枚すべてを裏返し終わるまで何もせず待っていることになります。作業者Cも同様です。この「手待ちの時間」こそが、全体の所要時間を長くしている原因です。
1枚ずつ渡す場合は、作業者Aが1枚目を渡した直後に作業者Bが作業を開始でき、全員がほぼ同時に稼働している状態になります。個人の経過時間は増えても、チーム全体としてはムダな待ち時間が激減するのです。
この「手待ちのムダ」は、トヨタ生産方式の「7つのムダ(トヨタの七つのムダ)」の1つとしても知られています。
| トヨタの7つのムダ | 概要 | |
|---|---|---|
| 1 | 加工のムダ | 必要ない工程が無いか |
| 2 | 在庫のムダ | その在庫に理由があるか |
| 3 | 造りすぎのムダ | 一番悪いとされるムダ |
| 4 | 手待ちのムダ | 作業することがないこと |
| 5 | 動作のムダ | 付加価値をうまない動き |
| 6 | 運搬のムダ | 必要以上の移動が無いか |
| 7 | 不良・手直しのムダ | 標準化されているか |
振り返り(デブリーフィング)の進め方
コイン渡しゲームの効果を最大化するには、実施後の振り返りが重要です。以下の流れで進めると、学びが深まります。
ステップ1:結果を共有する
ホワイトボードに3ラウンドの計測結果を書き出し、全員で確認します。「各作業者の時間は長くなったのに、全体の時間は短くなった」という事実をまず全員で共有しましょう。
ステップ2:問いかける
以下のような質問をファシリテーターから投げかけます。
・「なぜ個人の経過時間は増えたのに、全体の完了時間は減ったのでしょうか?」
・「20枚まとめて渡しているとき、作業者BやCは何をしていましたか?」
・「皆さんの普段の業務で、同じような”手待ち”は発生していませんか?」
ステップ3:業務に置き換える
ゲームの体験を実際の業務に結びつけます。
・IT開発の場合:大きな機能をまとめてリリースするより、小さな単位で開発・テスト・リリースを繰り返す方が早く価値を届けられる(アジャイル開発/カンバン仕事術の考え方)
・製造業の場合:大ロット生産より小ロット生産の方が在庫を減らし、顧客への納品が早くなる(カンバン方式の考え方)
・事務作業の場合:書類を100件まとめて処理してから次の担当者に回すより、10件ずつ回した方が全体の処理完了が早くなる
活用シーン・こんな研修におすすめ
【要点】コイン渡しゲームは、IT企業のアジャイル開発研修、製造業の生産管理・トヨタ生産方式研修、新入社員研修のチームワーク教育、管理職研修の業務改善ワークなど、幅広い層のビジネスゲーム研修として活用できます。20分で完結する短いワークでありながら、全体最適やチーム連携を深く学ぶための導入として高い効果を発揮します。
コイン渡しゲームは、以下のような研修で特に効果を発揮します。
・アジャイル開発研修(IT企業)
スクラムやカンバンを導入する前に、「なぜ小さな単位で開発を進めるのか」を体験的に理解してもらうことができます。
・生産管理・トヨタ生産方式研修(製造業)
バッチサイズの削減やジャストインタイムの考え方を、座学だけでなく体験で腹落ちさせたい場合に有効です。
・新入社員研修のチームワーク教育
「自分だけが速くても、チーム全体の成果にはつながらない」という気づきは、新入社員に全体最適の視点を持たせるきっかけになります。
・管理職研修の業務改善ワーク
部門間の連携や業務フローの改善をテーマにした研修の導入ワークとして、課題意識を持たせるのに効果的です。
コイン渡しゲーム研修キット|スライドと進行ガイドの4点セット
ここまでの手順どおりに進めれば、コイン渡しゲームはコインとストップウォッチだけで実施できます。一方で、投影用のスライドや進行台本を一から作るとなると、準備にはそれなりの時間がかかります。その部分を省きたい方向けに、弊社ではコイン渡しゲーム研修キットをダウンロード版で販売しています。
| 同梱物 | 内容 |
|---|---|
| 進行スライド(PowerPoint) | 投影用の全21枚。各スライドの発表者ノートに、そのまま読み上げられる進行台本が入っています |
| ファシリテーターガイド(PDF・Word) | A4で全14ページ。実施前チェックリスト、時間配分3パターン(15分・20分・30分)、進行台本、よくある躓きと対処、振り返りの深掘り質問集、業種別の転換例、コインと代用品の調達ガイドを収録 |
| 記録シート(PDF・Word) | 進行役が計測結果を書き込むシート。グループ数分を印刷してお使いいただけます |
| はじめにお読みください | 同梱物の一覧と、初めて実施する方に向けた進め方の手引き |
進行スライド(全21枚)のサンプル

ファシリテーターガイド(全14ページ)のサンプル

価格は15,000円(税別)・16,500円(税込)で、ご購入いただいた法人・団体の内部研修であれば実施回数の制限はありません。自社の業務例への差し替えなど、社内でご利用いただく範囲での改変も自由に行っていただけます(第三者への再配布・再販売・貸与はご遠慮ください)。Word版も同梱しているため、ガイドや記録シートは自社の運用に合わせて編集できます。
ご購入をご検討の方は、ページ下部のお問い合わせフォームのお問い合わせ内容で「コイン渡しゲーム研修キット」のご購入・お問い合わせを選んでご連絡ください。
コイン渡しゲームは20分で完結する短いワークですが、もっと深く全体最適やチーム連携を学びたい場合は、より本格的なビジネスゲーム研修への発展がおすすめです。弊社では以下のゲームを提供しています。
ビールゲーム|サプライチェーン全体の最適化を体験する研修
ビールゲームは、MITスローン経営大学院の教授が考案したシステム思考の体験型シミュレーションゲームです。4名1チームで「工場」「一次卸」「二次卸」「小売店」の役割を担い、互いにコミュニケーションが取れない状況で在庫と発注をやりくりします。
需要のわずかな変動が上流の工程ほど大きく増幅されるブルウィップ効果を体験でき、ゲーム後は氷山モデル・ループ図を使ったシステム思考の講義で全体最適の考え方を学びます。書籍『学習する組織』(ピーター・センゲ)でも紹介された定番ワークです。
所要時間2〜3時間、4〜40名で実施可能です。

全体最適を意識させるためのビジネスゲーム型研修
チームクリップ|自律型人材を育成するゲーム型研修
【要点】チームクリップは、映像制作会社の社員になりきり、個人タスクとチームプロジェクトの双方を制限時間内に達成するビジネスゲーム研修です。砂時計を用いたタイムアタック形式で、チーム全体の動きを意識して自律的に動く力を体験的に学べます。コイン渡しゲームで全体最適の概念を掴んだ後の実践にもおすすめで、所要時間2〜4時間、3名以上で実施可能です。
コイン渡しゲームで「全体最適」の概念を掴んだ後、チームクリップでより深く実践するという流れもおすすめです。

自律型人材を育成するゲーム型研修「チームクリップ」
よくある質問
Q. コイン渡しゲームはオンラインでも実施できますか?
コイン渡しゲームは対面での実施を前提としていますが、オンラインで全体最適やチーム連携を学びたい場合は、Webブラウザ上で実施可能なビールゲーム オンラインがおすすめです。システム思考やサプライチェーンの最適化をオンライン環境で体験できます。
Q. コイン渡しゲームの実施に必要な準備物や費用はどのくらいですか?
準備物は20枚のコインとストップウォッチ、記録用のホワイトボードのみで、特別な費用をかけずに実施可能です。より本格的なビジネスゲームを導入したい場合は、レンタル可能なビールゲーム(カード版)などのパッケージがあり、費用は資料請求やお問い合わせ時にご案内しています。
Q. 新入社員研修で全体最適を学ばせるのに適したゲームはありますか?
コイン渡しゲームは短時間で全体最適の概念を理解させるのに最適です。さらに、個人のタスクとチームの目標を両立させる自律型人材の育成を目指すなら、制限時間内にミッション達成を目指すチームクリップが新入社員研修や若手研修におすすめです。
Q. ビールゲームの導入実績や受講者の評価はどのようになっていますか?
ビールゲーム(カード版)は、多くの企業で導入実績があり、受講者からも非常に高い満足度評価を得ています。サプライチェーンの全体最適やシステム思考を体感できる研修として、製造業や流通業をはじめとする幅広い業界で活用されています。
全体最適・チーム連携|ビジネスゲーム研修導入をご検討の方へ
ビールゲーム・チームクリップなど、全体最適やチームワークを体験的に学べるビジネスゲーム研修の資料を無料でお送りします。
詳細な資料、お見積りをご希望の方はまずは下記より資料請求をお願いします。
※同業他社様からのお問い合わせはご遠慮ください。
まとめ
【要点】コイン渡しゲームは、ビジネスゲーム研修において、全体最適の重要性を短時間で体験的に理解できる非常に効果的なワークです。個別最適を優先するよりも、チーム全体を意識して行動することが成果につながるという気づきを得られます。準備もコインとストップウォッチのみと手軽で、20分程度で実施可能なため、研修の導入やまとめのワークとして最適です。
コイン渡しゲームは、準備が簡単(コインとストップウォッチがあればOK)で、20分程度で実施でき、それでいて「全体最適」「バッチサイズ」「手待ちのムダ」といった重要な概念を体験的に学べる優れたワークです。
「個別最適ではなく、全体最適を意識して行動した方がチームとしての成果が出る」——この気づきを、ぜひ研修の中で活かしてみてください。

